特許法については勉強不足の点もありますが、間違っている部分があったら教えてください。

今はインターネット上で簡単に特許検索できますが、その検索結果について誤解している人も見受けられます。
これから発明を特許出願しようとしたり、実施しようとする人はもちろん既に出願や登録されている特許がないか調べるでしょうが、権利関係以外の目的で検索する人もいるようです。
たとえば「パチンコの遠隔操作システム、通称ホルコンに特許が認められているから遠隔操作は合法、公序良俗に反するなら認可されないはずだ」と変化球のような形で特許を根拠にあげる人がいます。

その理屈が正しいかどうかはさておき、そもそも本当にホルコンに特許があるのか、特許法に関する解説を交えながら説明したいと思います。

・ポイント1 出願された発明は全て公開される
特許権は著作権とは違い、発明時に発生するのではなくまず出願し、審査請求、特許庁の審査を経て登録されて初めて発生します。
大きな特徴として、特許出願すれば審査の有無にかかわらず全ての出願が自動的に公開されます。出願から1年半後です。出願=登録ではありません。出願しても登録できるとは限りません。

たとえば東大の入試も受験料払えば成績悪くとも受験できるけど、受験したからといって合格したわけじゃもちろんありません。(たとえだから細かい条件は抜き)「出願番号があるから特許庁に認められた」というのは「受験番号があるから東大に合格した」といっているのと等しいくらいの間違いです。

出願だけであればどんな内容であろうともできますし、全て公開されます。タイムマシンの特許だって実際出願されています。ひとつあげれば
特許公開2005-102494一般相対性理論応用加速度運動利用重力制御タイムマシン
それをみて「タイムマシンは実現可能なんだ!特許庁が認めたんだ!」なんて早とちりはせず、審査請求されたのか、審査の結果どうなったのかをよく調べましょう。これは審査請求はされていますが、経過情報をみると拒絶査定。却下されています。
実際登録までに至る過程はもっと複雑ですけどね。すんなりと一度で特許登録までいくことの方が珍しいです。たいてい拒絶理由通知が送られてきて、補正書や意見書を何度も送り修正することになります。拒絶査定が下った場合でもまだ査定不服の審判を起こすチャンスがあります。
出願されているだけの発明を根拠にする人もみかけます。たとえば上の出願を引用して「特許があるからタイムマシンは問題なく実現可能、特許庁も認めた」と嘯く人もいるかもしれません。騙されないようにしましょう。どんなめちゃくちゃな発明も出願だけだったら可能です(記載に不備があれば受理すらされないことがありますが)。問題は審査の結果、登録査定を得て特許登録が認められるかどうかです。


「公開特許公報」と「特許公報」というのがありまして、特許公報には特許登録された権利の存在する特許発明しか載りませんが、公開特許公報には出願されている発明が全て載ります
審査の結果、拒絶査定がでて特許が認められなかったとしても公開特許公報には残り続けます。
だから特許出願を検索した場合には広報は特許公報なのか公開特許公報なのか、審査を経て認められたのかどうかをよく確かめなくてはなりません。
「なんで登録されていない特許も検索できるんだ?意味あるのか?」と思うかもしれませんが、特許出願する場合には大きな意味を持ちます。
特許取得の要件として「新規性」今までにない新しい発明である必要があります。もし出願しようとした時に全く同じ発明が既に公開特許公報にて載っていると、たとえその特許が登録されていなくとも同じ特許を取ることはできません。既に公開されたら新規性を失うからです。だから特許出願する場合には既に権利が登録されている発明だけでなく、出願公開されている発明も調べます。

だから「出願番号」だけでは特許登録されている証拠になりません。
・ポイント2 出願は自動的に審査はされない。審査してもらうためには審査請求が必要
特許権を得るためには出願だけでは不足です。3年以内に出願審査請求をする必要があります。
3年以内に出願審査請求をしなければ取り下げられます!だから公開された出願内容を読む時は審査請求の有無のチェックしましょう。
出願と同時に審査請求することもできますが、出願公開される1年半後以降に請求ことが多いようです。もしその1年半の間に別の人の同じ発明が公開されたら、既に自分より先に出願しているはずなので審査請求しても無駄になります。慌てて審査請求するより1年半は様子をみてもいいでしょう。

審査請求しない場合もあります。「なんで出願したのに審査請求しないんだ?」と思うかもしれませんが、理由は色々とありますがたとえ特許権を取得できなくとも出願すればあとから誰かが特許取得できないはずなので、出願するだけでも防御的な効果があります。特許権を維持するにも毎年お金がかかるので、誰かが特許権を取得して発明の実施料を請求される前に出願だけするのも手です(先使用権の制度ありますが)。
ちなみに第三者が出願審査請求をすることもできます。
http://pachinkokouryaku.fc2web.com/pachihorukon.html (パチンコ・パチスロの真実「ホルコン・遠隔装置等の特許内容を公開!」 
「ホルコン 特許」で検索すると最初にヒットするこのサイトについて検証してみましょう。
『特許というものは、違法なものは登録出来ない仕組みになっているので、特許登録されているものは、基本的には合法である』
と結んでいますが、この理屈はとりあえずおいといてそもそもこれらは特許登録されているのでしょうか?出願と公開の番号しか書かれていませんが果たして・・・
まず「遊技機管理装置用動作プログラム」でヒットする出願について
公開番号/登録番号 発明の名称1. 特許公開2002-306810遊技機管理装置および遊技機管理装置用動作プログラム2. 特許公開2002-306796遊技機管理システムおよび遊技機管理装置用動作プログラム3. 特許公開2002-292078 遊技機管理装置および遊技機管理装置用動作プログラム4. 特許公開2002-263342遊技機管理装置および遊技機管理装置用動作プログラム5. 特許公開2002-263332遊技機管理装置および遊技機管理装置用動作プログラム
たしかにヒットしましたが、これだけで特許庁に認可されたものと早とちりしてはいけません。中身を読んでみましょう。

それぞれへのリンクはうまくいかず、調べなおすのも面倒なので勘弁ください。番号で検索を
経過を調べてみると1~3は「未審査請求」により取下げ4、5は拒絶査定 (当業者が容易に発明できる)を受けています。
つまりこれらはどれも特許登録されていません!


続いて特許公開平10-137422 ICカードを利用したパチンコシステム
未審査請求により取り下げ
特許公開2004-154307 遊技機管理システム
→これも未審査請求により取り下げ
特許公開2003-265825  遊技場管理装置→審査請求するも拒絶査定(理由は下の追記をお読みください)


結局そのサイトで例にあげている発明はどれも特許登録などされていませんでした。前提が崩壊。むしろ拒絶査定を受けた特許もあるので不利な材料

特許庁で認められたからと主張するならちゃんと出願だけでなく審査されたかどうか、審査の結果認められたかどうかは調べて欲しいものです。
もしかしたらそのサイトが2004年頃作られ、まだ審査請求の結果もわからなかったのかもしれませんが、「ICカードを利用したパチンコシステム」にいたっては平成10年出願だから未審査で取消くらいは調べられたはずですよね(と思ったけど、2001年以前は出願から7年間だったから、まだ確定していないかも。勉強不足ですみません。)。出願が公開されただけの段階でも「特許登録されている」などと書いているのはおかしいです。
別のサイトでは特許出願2001-120***

特許公開2002-306***

なんなら特許庁で調べて下さい。
と書かれていたので調べましたが
遊技機管理システムおよび遊技機管理装置用動作プログラム特許出願2001-120009特許公開2002-306796

未審査請求にて取り下げ。特許取得できていませんね。あなたこそちゃんと調べてと言い返したい。
別サイト遊技場管理装置出願番号:特許出願2003-112266公開番号:2003-26582拒絶査定
とりあえず挙げられているのはこの辺でしょうか。


ホルコンの特許としてあげられているものを検証しただけなので、特許検索にて存在しているかどうかまでは確かめていません(多すぎるし)。もしかしたらあるかもしれないけど、少なくともサイトで挙げられていたこれらの特許出願には特許権はありません。出願番号と公開番号しか載せれていないのだからどのサイトも怪しいものです。
上のサイトは「ホルコン 特許」と検索したら上位にひっかかったので信じてしまっている人も多いと思います。注意喚起です。
私がいいたいことは「特許出願~」と番号が書かれているだけでは特許登録されているかどうかわからないから注意した方がいいということです。出願=特許登録されているではない、このことだけ覚えて帰ってください。

追記 特許公開2003-265825  遊技場管理装置→審査請求するも拒絶査定にの拒絶査定が下った理由を調べましたが、自身の先に出願したものと発明が同一であり、特にその中でも特許されているものがあるからのようです。
特許出願 平08-270742 遊技場管理装置登録日 2007-04-13登録番号 3943628
なんだ登録されているものあるんじゃないですか。これを引用しろと。同一の発明であることが認められていますしね。中身は見てませんが。タイトルは崩れたかもですが、これらのサイトの情報がデタラメであったことに変わりはありません。たとえ結論が正しくても根拠が間違っていたら意味がありません。
更に追記特許4060388特許3909606
これはたしかに特許権取得されています。本物と言わざるを得ない。
特許4060388 ダイコク電機株式会社が特許権者ですが、登録情報べると年金不納により本権利消滅日(平25.12.28)権利が抹消されています。
6年分納めていたようですけどね。特許庁に納める年金(特許維持費)は徐々に高くなりますから維持するだけでも大変です。
特に7年目~9年目で値上がりしますから
特許3909606 ネット株式会社が特許権者ですが、登録情報を調べると現在も存続しています。年金も9年間払い続けています。
請求項は6項目なので[1年あたり]1年目~3年目(2,300円+6×200円)×3年分4年目~6年目(7,100円+6×500円)×3年分7年目~9年目(21,400円+6×1,700円)×3年分
計13万5600円
この島管理の特許が実際に使われているかどうか知りませんが、この維持費をかけるだけの価値はあるんでしょうね。
10年目以降は年間61,600円+6×4800円=約9万と跳ね上がるので存続の行方が気になります。